岡本静嘉堂緑地

調査対象地区の樹林地の状況および周辺環境を紹介します。岡本静嘉堂を取り囲む樹林地。かつては岩崎家の庭園として管理されていた緑地ですが、現在はほとんど人の手が加わらず、アラカシ、シラカシ、スダジイ、マテバシイなどの常緑樹林を主構成とした樹林地となっています。上空を常緑樹などの枝葉が覆うため、林床日中でも薄暗く、草本類はまばらで、斜面土壌の浸食が見られます。

調査区の南西端には小面積ながら草地の「バッタ広場」が位置し、また、南側斜面には数カ所から湧水が湧出し、小さな流れを形成しています。調査ルートに設定された樹林地は「生物の森」として一般の立ち入りは制限されています。緑地の南側に沿って丸子川が流れており、並行して比較的交通量のある道路が位置しています。

当緑地の周辺には「瀬田四丁目広場:旧小坂邸」や岡本公園、民家園など比較的まとまりのある緑地が位置し、取り囲む住宅地も緑の多い宅地です。また、南西には畑地が点在しています。このように、畑地・緑の多い住宅地・草地(バッタ広場)・樹林地・水路(丸子川・湧水路)が連続して分布しており様々な環境の「質」が存在する緑地となっています。

岡本静嘉堂へのエントランス道路 静嘉堂緑地の南側斜面
岡本静嘉堂へのエントランス道路(2002年5月撮影)
高木のケヤキなどのほか、シラカシ、スダジイなどの常緑広葉樹が林地を形成している。
静嘉堂緑地の南側斜面(2004年10月撮影)
緑地斜面の下部には湧水路が位置している(写真右)。林床の草本層は貧弱で、裸地または落ち葉が厚く堆積している。
「生物の森」上空を覆う樹冠 緑地の南側斜面
「生物の森」上空を覆う樹冠(2002年4月撮影)
生物の森の上空は、常緑広葉樹の樹冠によって鬱閉しており、日中でも林内は薄暗い。高木層、低木層の植生密度は高いが、日射量不足のため、草本層は貧弱で裸地化している斜面も多く見られる。
緑地の南側斜面(2004年4月撮影)
緑地に沿って丸子川と比較的交通量の多い都道が位置している。南側斜面には湧水が数カ所見られ、その流れは丸子川に注がれている。
緑地の上面  
緑地の上面(台地面)(2004年7月撮影)
緑地の上面(斜面上部)もヒノキ・スギなどの常緑針葉樹やケヤキなどの高木層が発達しており、林内は日中でも日射しが届かない。林床にはアズマネザサが広く分布する。 
 

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