神明の森みつ池特別保護区

調査対象地区の樹林地の状況および周辺環境を紹介します。神明の森みつ池」は東京都緑地指定地区および世田谷区特別保護区に指定され、良好な樹林地環境を維持しています。斜面および谷戸部を樹林地が覆い、林内の数カ所に位置する湧水が湿性植物群落を形成しています。

斜面林の高木・亜高木層には、クマシデ、コナラ、クヌギなどの落葉広葉樹(二次林:かつての薪炭林)が優占しており、低木層にはこれらの幼樹のほかにアオキ、シラカシ、ヤツデ、シュロなどの常緑樹広葉樹が見られます。

林床にはキンラン・ギンランをはじめとした23区内では貴重な植物が生育しています。湧水からの流れの周辺にはセキショウが大きな群落を形成し、ハンノキなどの湿性植物も生育しています。また、水路内にはゲンジボタルのほか、トビケラ類、カワゲラ類など清涼な水質の指標となる種や、河川上流部・渓流部などで見られるような水生昆虫類も多数生息しています。

本地区は制限つきサンクチュアリとなっており、一般には開放はされておらず、良好な生態系が維持されています。

みつ池の崖線樹林 みつ池の湧水地周辺
みつ池の崖線樹林(2002年5月撮影)
小田急線から北西側へ約250〜300mほど連続するクヌギ・コナラ・シデ類などを中心とした落葉広葉樹林。崖線上部にはアカマツの高木も点在する。
みつ池の湧水地周辺(2004年10月撮影)
みつ池内の谷戸の中央を湧水が流れ、周辺に草地が位置している。任意採取・地表性昆虫類採取・ライトトラップ調査などを行った。
任意調査の様子
任意調査の様子(2004年7月撮影)
草地ではスイーピングによる任意採取。樹木ではビーティングによる任意採取を実施した。写真中央奧にライトトラップ用の天幕が見える。

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