さて、跡地の開発ですが、三宿2丁目の法務省研修所跡地は区が取得して公園として整備できたので、太子堂中学校からこの跡地と法務省跡地を経て多聞小学校に至る一帯を防災拠点にならないかというアイディアが住民から生まれました。これは、当地区の震災時広域避難場所が「昭和女子大学周辺」となっていますが、阪神の震災などの経験を考えても国道246号線を渡れないだろう(住民アンケート調査からも246を横断してまで避難しないとの結果が出ています)ということが以前から指摘されていましたことに加え、小児病院跡地の北側の代沢地域は広域避難場所がかなり遠い駒場周辺になっていることで、この地にどうにか防災拠点ができないかというものでした。都も区も前向きに考えてくれていたので、都市機構も要求の5000㎡まではいかないが開発地の中に防災広場を設けることを約束してくれています。ここまでには、都市機構との話し合いの長い道のりがありました。都市機構は、すでに直接住宅建設はしないことになっていますので、敷地内の基盤整備(道路・公園などの建設)を行い、土地をディベロッパーに売却及び定期貸借することになります。入札で決まった民間業者とこれから細部についての詰めの話し合いが、始まろうとしています。
又、隣接地の東京都住宅供給公社の建物も老朽化による建て替えを計画しましたので、益々この太子堂3丁目が騒がしくなっています。地区としては、これらの敷地が大きな区画だったので淡島通りへまっすぐ出られなかったのですが、三太通りの延長線で人に限って通れる道が実現できる予定です。協議会としては、都公社にも積極的に働きかけ、この周辺の整合性ある整備を図っていますが、事業者側の都合もあり、周辺住民に影響が出ることは必至です。
特に、新たな道路が出来るので、通過交通を抑制しないと大変なことになります。また、最近の交通事故は大きな道路ではなく、家の近辺の道路で起きているという現実もあり、国土交通省も「くらしのみち」と銘打って力を入れているようですので、協議会としても専門家を含めた研究会を立ち上げ、毎月定例で話し合ってきました。足掛け3年に及ぶ成果が以下の報告書です。地区内の実際の危険箇所の発見からゾーンシステムの提案までに至っています。
以上に先駆けて、密集地でも(密集地だから)電線の地下化ができないかと、協議会を中心に研究会を立ち上げていました。国土交通省においても、そのような方向での研究が進んできているようですが、まだまだ広い道路が主流です。昨今は通信系のケーブルが電柱に輻輳し、益々狭い道路の上が電線だらけになってきました。前述の小児病院跡地に隣接する道路の一部で、来年度電線地中化のモデル実施を国土交通省と東京電力で試みるようです。当地区は小さいまちづくり用地が道路沿いに点在している道もあるので、地上トランスの設置も可能と思われます。早くモデルとしての完成が成功し、次の展開に繋がることが望まれます。
以前は区やまちづくりファンドの助成などにより、毎月の定例協議会とは別にテーマを決めて活動してきましたが、この近年はハウジングエンドコミュニティ財団(以下略称H&C財団)及び住宅生産団体連合会からの調査費などで企画を立てて活動してきたことが、この5年間の特徴になるでしょうか。その5年の最後(25年目)が、元に戻って「まちづくりファンド」からの助成でこのまとめを作っていることに何か考えさせられるような気がします。
・ ミニ共同溝研究会
(設立期間、メンバーなどは、下記レポート内をご覧ください)
・ く ら しのみち研究会
平成13年1月~3月
(H&C財団‘02)
平成13年9月~14年3月
(住宅生産団体連合会‘01)
平成15年10月~16年3月
太子堂における新しいタイプの生活道路の提案作りを通したまちづくりの展開に向けた調査
(H&C財団‘03)
平成16年11月~17年3月
(H&C財団‘04)
平成16年9月~17年3月
(住宅生産団体連合会‘04)
以上